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安定した職業として人気が高い公務員は、就職先としてハードルが高いと思っている方は多いのではないでしょうか。とくに高校卒業後すぐに就職を考えている方は、学歴を気にして応募を躊躇ってしまう傾向があるといわれています。
本記事では、若手に特化した転職支援サービスの「ツナグバ」が、高卒で公務員になるメリットとデメリット、また高卒で目指せる公務員の職種について解説します。
公務員への就職および転職を考えている方は、参考にしてみてください。
高卒で公務員になれる?
ひと言で公務員といっても、その職種は数多くあります。それぞれ必要な資格や最終学歴といった条件が決められており、高卒でも就職できる公務員の職種は存在します。
そのため、高卒を気にする必要はありませんが、メリットやデメリットを理解することが大切です。公務員が安定した職業であるのは確かといえますが、職種や給与面、将来のキャリアアップまで考える必要があります。
高卒公務員のメリット
高卒で公務員になることは可能ですが、メリットとデメリットがあるのも事実です。ここでは、高卒で公務員になるメリットを紹介します。
大卒と生涯年収が変わらない
公務員が安定した職業といわれる理由の1つに、収入面が挙げられます。
厚生労働省の調べによると、一般企業における高卒と大卒の初任給は、大卒の初任給が20万2千円に対し、高卒は16万円と約4万円ものひらきがあり、また勤続年数に関係なくその差が埋まることはないといいます。
しかし公務員の場合は、高卒と大卒で初任給に違いはありますが、生涯年収は変わらないという結果が出されています。高卒公務員は、一般企業と違って安定した収入が得られるメリットがあるといえるのではないでしょうか。
出典:厚生労働省「平成28年4月1日地方公務員給与実態調査結果」
出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」
大学の進学費用がかからない
高卒で公務員になると、大学に通う必要がありません。したがって、大学進学における費用負担がかからないメリットがあります。
日本学生支援機構の調べによると、4年間の学費と生活費の総額は国立大で約700万円、私立大で約1000万円もの費用負担が発生すると報告されています。
高卒で公務員になれば、大学の進学費用で負担を負うことはなく、むしろ4年間長く公務員としてお給料を貰いながら社会経験を積むことができるのです。
alt属性:大学生の学費と生活費の合計
出典:独立行政法人・日本学生支援機構「令和2年度・学生生活調査結果」p11
大卒より4年早く社会経験が積める
高卒で公務員になると、大卒より4年早く社会経験を積むことができます。業務上の知識や実務経験を培うことができ、また公務員という組織的な仕組みを理解することもできます。
また、働きながら必要な資格を習得することで、将来的に責任ある立場に就ける可能性が生まれます。
大卒と同じレベルの仕事ができる
公務員の専門職を省いた場合、高卒公務員と大卒公務員の仕事内容はほとんど同じといえます。
したがって、高卒であることを心配する必要はなく、また大卒より早く働ける点から出世に繋げやすいため、場合によっては大卒より責任ある立場で業務に携われる可能性があります。
人生設計が立てやすい
高卒・大卒問わず、公務員の給与は条例で定められています。したがって、勤務年数に応じた自身の収入を把握し、計画的なマナープランを立てることにより、人生設計が立てやすくなるのです。
貯蓄はもとより、結婚、出産、マイホームなど、数年先を見越した人生設計を立てることで、充実した生活を送ることができるのではないでしょうか。
高卒公務員のデメリット
続いては、高卒で公務員になるデメリットを紹介します。
採用枠が少なく倍率が高い
年齢や学歴を問わず、安定した職業として公務員の人気は高いです。また、職種で違いはありますが、公務員の高卒採用枠は限られているため倍率が非常に高いとされています。
筆記試験と面接に合格するための対策はもちろんのこと、学校やプライベートでの生活態度も重視されています。
出世が遅く部署のトップになるのが難しい
上記で、高卒公務員の生涯年収は大卒者と変わらないと解説しました。しかし、大学に進学した人より4年長く勤めているからといって、出世が早くなるわけでもありません。
公務員の給与は条例で定められており、全国同一の基準で支給されるのです。それにより、学歴で比較されることがない一方、勤務年数で給与に差がでることもないのです。勤務年数に出世・昇進が伴わない点は、上昇志向が高い人にとってデメリットになるといえます。
未成年であることが通用しない
高校を卒業した直後は未成年ですが、公務員として働く以上は成人と変わらない扱いを受けます。
とくに地方公務員はサービス業であり、業務を覚えるまでは市民や企業からの苦情等を電話や窓口で対応をさせられる可能性が高く、ときには罵声を浴びせられるかもしれません。また、誤った対応や処理をすれば、先輩や上司から厳しく注意(叱咤)されてしまいます。
大学に進学した同級生は子供として扱われ、キャンパスライフを謳歌していることを考えると、公務員の厳しい環境を辛く感じてしまうかもしれません。
しかし、学歴に関係なく、仕事には責任が生じます。その見返りとして給与が払われており、公務員に限っては国民の税金が給与として支払われているのです。働く以上は避けては通れないため、早く職場の環境や実務に慣れるように前向きに考えることが大切です。
初任給が低い
安定した収入が得られる公務員ですが、高卒公務員の平均初任給は15万4千円とされており、一般企業に勤める高卒者と比べても約1万円低くなっています。
一人暮らしをする場合は、家賃や生活費を除いて、手元に残る金額は想像以上に少ないといえます。しかし、勤務年数が長くなるほど給与は増え、また出世することで手当もつくため、5年、10年先の収入を考えることが大切です。
希望する役職につけない可能性
高卒公務員ではキャリアアップに限界があるといわれています。役職に就つためには、昇任試験に合格するだけではなく専門的な知識や資格が必要であることは多いです。そのため、希望する役職に就くことができず、仕事にやりがいを見失う可能性を否定できません。
高卒でなれる公務員の職種とは?
ここまで、高卒で公務員になるメリットとデメリットを中心に解説してきました。初任給が少なく、出世に時間がかかる等のデメリットはありますが、長期的にみて安定した職業であることは確かです。
しかし、高卒でなれる公務員には一体どのような職種があるのでしょうか。
県庁や市役所の職員
高卒でなれる公務員は、県庁や市役所の職員です。地方自治体で働くため地方公務員にあたり、各都道府県で実施されている地方初級公務員試験を受験し、筆記試験と面接に合格する必要があります。配属される部署によって業務内容は異なりますが、主に窓口業務や庶務、行政施策の企画立案といった多岐にわたります。
公立学校の事務職員
各市町村の小中学校、および県立学校の事務職員も地方公務員にあたります。事務仕事が主な業務ですが、学校運営において重要なポジションであることは確かです。
自衛隊
自衛隊員は、高卒でなれる公務員です。陸・海・空のどの部隊も定められた条件を満たすことで入隊することができます。
【陸上自衛隊の場合】
- 自衛官候補生:1年9ヶ月の訓練期間を経て陸上自衛官になれる
- 一般曹候補生:1年9ヶ月の訓練期間を経た後に昇進試験に合格すると幹部候補生へとステップアップできる
【航空自衛隊&海上自衛隊】
- 2年9ヶ月間の教育期間を経た後に各部隊で任務に就く。
部隊によって異なりますが、自衛隊になるためには、筆記試験、口述試験、適性検査、身体検査、経歴評定が実施され、航空自衛隊に関しては操縦適性検査、医学適性検査も実施されます。
合格率は、自衛官候補生および一般曹候補生で約25%となっており、航空自衛隊は約6%と、どの部隊においても合格難易度が高い職種といえます。
警察官
高卒であれば、警察官になることが可能です。地域の交番や派出所、各市町村の警察署の事務職員として勤務する警察官は地方公務員にあたり、警察庁に採用される警察官は国家公務員に該当します。
警察官になるためには、警察官採用試験に合格する必要があります。
消防官
消防官は、高卒でなれる公務員です。各自治体で実施される消防士採用試験に合格する必要があり、また消防官は体力が求められる職業のため、厳しい体力検査が試験内容に含まれています。
各官公庁職員
高卒資格があれば、経済産業省や金融庁、厚生労働省といった各省庁で国家公務員として働くことが可能です。
各官公庁で働くためには国家公務員試験に合格することが必須条件ですが、国を動かす重要な仕事になるため、各省庁で業務内容は大きく異なるものの非常に業務の難易度が高い職業とされています。
裁判所職員
裁判所は各都道府県にありますが、高卒資格があれば裁判所職員になることが可能です。
しかし、裁判所職員は国家公務員に該当するため、国家公務員試験に合格する必要があります。業務内容は、総務・会計・人事・裁判所書記官のサポート、書類の発行等です。
まとめ
高卒で公務員になるのはハードルが高いと思われがちですが、高卒でなれる公務員の職種はたくさんあります。また、高校卒業後すぐに公務員になるからこそ、給与等の待遇面やキャリアアップにおいて大きなメリットに繋がるケースも多いです。
とはいえ、地方公務員試験および国家公務員試験の合格率は低く、とても難易度が高いといえます。高卒で公務員を目指している方は、早い段階から筆記試験や面接の対策をとり、また職種によっては体力作りをするなどの準備をしておきましょう。
この記事の監修
海老名 信行
取締役/COO
株式会社ツナグバ
大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
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