老人ホームの種類や特徴を知りたくはありませんか?老人ホームが介護施設であることはわかっていても、具体的な種類や特徴を把握している人は少ないでしょう。そこで今回は老人ホームで働こうと思っている介護職員へ向けて、老人ホームの種類と特徴を解説します。介護職員必見の内容となっていますので、職場としての老人ホームに興味のある方は是非参考にしてみてください。
介護職員が働く老人ホームとは?
介護職員が働く老人ホームの全体的な特徴は3つあります。
- 老人ホームは高齢者が入所する介護施設
- 老人ホームは利用者の自立支援が目的
- 老人ホームは24時間体制で介護サービスを提供
それぞれ順番に解説します。
老人ホームは高齢者が入所する介護施設
老人ホームは高齢者が入所する介護施設です。高齢者が今まで住んでいた家を離れ、介護に適した住処として選んだ住居が老人ホームだといえます。介護施設というと「介護を受ける場所」と捉えられがちですが、老人ホームの本質は高齢者の住居です。老人ホームは高齢者が主体的に生活を送る場だといえるでしょう。
現場の介護職員の目線は「(介護職員が)どのような介護サービスを提供するか」に主観を置きがちです。ですが老人ホームの主役が高齢者であると考えれば「(利用者が)どのような人生、生活を送るか」に主観を置くのが妥当だといえます。介護職員として老人ホームで働くのであれば、入所する高齢者の人生の質を高められるケアの提供を心がけるべきでしょう。
老人ホームは利用者の自立支援が目的
老人ホームの目的は利用者の自立支援です。介護の根本である介護保険では、利用者が自立した生活を送れるよう支援することを目標としています。以下の文章は介護保険法の第2条4項からの引用です。
第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
引用元:e-Gov法令検索 介護保険法
老人ホームの介護では、どのようなケアを提供すれば利用者が自立した生活を送れるのかを考えるのが肝心です。利用者の身の回りのことを介護職員が先回りして全てやってしまうと、利用者は介護職員に依存しがちになります。介護職員の業務量が増えますし、利用者の自立した生活も難しくなるでしょう。介護職員として老人ホームで働くのであれば、利用者の自立支援を考える必要があるのです。
老人ホームは24時間体制で介護サービスを提供
老人ホームは24時間体制で介護サービスを提供しています。入所している利用者の安心、安全な生活を24時間守る必要があるからです。デイサービスや訪問介護では日中を中心とした特定の時間だけ利用者の介護を行いますが、老人ホームでは夜間を含めた24時間体制での介護を行います。
24時間体制の介護を行うため、老人ホームの介護職員はシフトを組んで勤務を行います。具体的なシフトは早番、日勤、遅番、夜勤などです。パートタイムや派遣社員であれば特定のシフトや曜日、時間だけ働けますが、正社員であれば不定休で各シフトを担当することになるでしょう。
介護職員が働く老人ホーム7種類の特徴!
介護職員が働く老人ホームは7種類あります。
- 介護付き有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
- 介護型ケアハウス
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
ここではそれぞれの特徴を順番に解説します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは有料と略される民間の老人ホームです。介護事業所ごとに方針が大きく異なり、様々な特徴の施設があります。具体的な特徴の一例は以下の通りです。
- 費用をできるだけ抑えた質素な老人ホーム
- 高いサービスの質を目指した高級老人ホーム
- 自立した利用者を中心に受け入れる老人ホーム
- 重度の利用者を中心に受け入れる老人ホーム
- 認知症の利用者を中心に受け入れる老人ホーム
- フロアごとに自立、重度、認知症の利用者を分ける老人ホーム
たとえば自立した利用者が多ければ生活の援助が業務の中心となり、重度の利用者が多ければ身体介護が業務の中心となります。有料老人ホームで働こうと思うのであれば、自分がイメージしているような施設か確かめてから応募するのが良いでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅はサ高住と略される民間の老人ホームです。介護サービスはデイサービスや訪問介護といった外部の介護事業所に委託している傾向にありますが、介護サービスを提供しているサ高住もあります。
サ高住の利用者の受け入れ基準は60歳以上の高齢者または60歳未満の要介護者です。自立した生活を送れる利用者が多い傾向にあり、身体介護よりは相談援助が業務の中心となります。重度の利用者のケアに抵抗のある人におすすめの職場といえるでしょう。
グループホーム
グループホームは認知症対応に特化した地域密着型の小規模老人ホームです。介護職員は利用者と一緒に家事を行い、それぞれの利用者に役割がある自立した生活を目指します。他の介護施設では掃除や料理といった家事を専門の職員や外部の業者が行っているため、介護職員が利用者と一緒に家事を行うのはグループホームの大きな特徴だといえるでしょう。
グループホームの利用者の受け入れ基準は要支援2以上の認知症患者であり、原則として施設がある市区町村に住民票があることです。施設規模が小さく、利用者の受け入れ地域も限定されているため、利用者同士に同じ生活背景を持つ顔なじみの関係ができやすくなります。グループホームの利用者は全員認知症ではありますが、比較的軽度の方が多いのが特徴です。
介護型ケアハウス
介護型のケアハウスは軽費老人ホームの一種である公的な老人ホームです。自宅での生活が困難な高齢者を低価格で受け入れています。軽費老人ホームにはA型、B型、C型があり、ケアハウスはC型の軽費老人ホームです。さらにケアハウスには介護型と自立型の区分があり、介護サービスを提供するのは介護型のケアハウスのみとなります。ケアハウスに介護職員として就職する場合は施設の種類を間違えないようにしましょう。
介護型ケアハウスの利用者の受け入れ基準は原則65歳以上、要介護1以上です。重度の利用者が主な特別養護老人ホームより受け入れ基準は緩いですが、長く入所している利用者はだんだんと重度化していきます。新しい施設は軽度の利用者が多く、古い施設では重度の利用者が多い傾向にあるといえるでしょう。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは特養と略される、重度の利用者を対象とした公的な老人ホームです。認知症の進行や身体機能の低下により、自分ひとりでは身の回りのことができない利用者が多数在籍しています。重度の利用者をケアするため老人ホームの中でも重労働の職場ですが、そのぶん給料は介護事業所の中でもトップクラスなのが特徴です。
特養の利用者の受け入れ基準は原則要介護3以上の高齢者です。特例が認められて要介護1または2で入所する利用者もいます。要介護4や5になると歩行ができなかったり、寝たきりであったり、意思疎通がほぼできなかったりする利用者が多いです。特養に就職を考えるのであれば、重度の利用者のケアがどのようなものかイメージしておくと良いでしょう。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は老健と略される、リハビリに特化した公的な老人ホームです。利用者の在宅復帰を目標にしており、他の老人ホームよりも機能訓練指導員や看護師が多く配置されています。規模が大きく業務が大変な傾向がありますが、給料は特養の次に高いのが特徴です。
老健の利用者の受け入れ基準は要介護1以上となります。老健は病院と在宅の中間施設として利用者の在宅復帰を支援しており、利用者の入所の期間には定めがあるのが特徴です。一般的には3ヵ月から1年程度で退所となります。他の老人ホームと異なり利用者が一定の周期で入れ替わるので、利用者との関係性は比較的薄いといえるでしょう。
介護医療院
介護医療院は要介護者の長期療養を目的とした公的な老人ホームです。高度な医療的なケアを必要とする利用者を中心に受け入れています。具体的には喀痰吸引や経管栄養といった原則医療職でなければ行えない処置が必要な利用者です。他の介護施設と比べると医師や看護師といった医療職が多く働いており、介護施設よりも病院に近い特徴があります。
介護医療院の利用者の受け入れ基準は要介護1以上の高齢者であることに加え、担当医師からの紹介状が必要です。医師の推薦がなければ入所できない介護施設であるため、利用者は定期的に何らかの医療的な処置を必要としていると考えて良いでしょう。そのため介護医療院の介護職には医師や看護師の指示により業務を進めていく場面が多くあります。
介護職員が働く老人ホームの特徴は施設の種類によって大きく異なる!
いかがだったでしょうか。この記事では介護職員が働く老人ホームの種類と特徴を解説しました。老人ホームは介護業界で最もメジャーな施設であり、さまざまな種類があります。施設ごとに特徴が異なるので、職場の雰囲気や待遇の違いも大きいです。老人ホームの中には必ずあなたの強みを活かせる職場があることでしょう。
この記事を参考にしてあなたのぴったりの職場を見つけてみてください。