デイサービス(通所介護)とは?定義や役割、サービス内容などを徹底解説

デイサービスの利用者は、年々増加傾向にあります。

令和2年度の厚生労働省調査によると、デイサービスは在宅利用の介護保険サービスの中で、約42%もの人に利用されているのです。

しかし、デイサービスの社会的な役割やサービス内容についてしっかりと理解しているといえるでしょうか?

分かっているつもりでも、意外と知らないことが多いかも知れません。

そこでこの記事では、デイサービスの定義や社会的な役割、サービス内容などについて詳しく解説します。

介護施設の中でも利用者が非常に多く、重要なポジションにあるデイサービス。

介護施設への就職や転職をお考えの方は、この記事でデイサービスに関する基本的な知識を身につけてくださいね。

目次

デイサービス(通所介護)とは

まず最初にデイサービスの定義について、お話ししましょう。

デイサービスとは、要介護状態となった利用者が、可能な限り自宅で暮らしながら、自身の能力を活かした日常生活を営めるように、必要な世話を受けたり機能訓練を行ったりすることができる介護施設です。

ともすれば自宅に引きこもりがちになる利用者の社会的孤立を解消するとともに、介護を行う家族の身体的精神的負担を軽減します。

デイサービスの目的

では、デイサービスはどのような目的の元に運営されているのでしょうか?

厚生労働省が表している「通所介護の概要・基準」の基本方針には、以下のような記述があります。

通所介護の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。

引用元:厚生労働省「通所介護及び療養通所介護(参考資料)」

デイサービスの目的は、利用者の生活機能の維持や向上、社会的孤立感の解消、心身機能の維持、さらに利用者の家族の身体的精神的負担を軽減することにあるといえるでしょう。

デイサービスの役割

デイサービスでは、前章でお伝えした目的を達成するために、以下のような役割を担っています。

  • 利用者の心身機能の維持と向上
  • 利用者の社会的孤立を防ぐ
  • 生活面の介助
  • 家族の負担を軽減する

次の章では、具体的なサービス内容についてお話ししましょう。

デイサービスのサービス内容

次に、デイサービスで行っている具体的なサービス内容を紹介します。

デイサービスのサービス内容としては、以下の7つがあります。

  1. 健康チェック
  2. 食事介助
  3. 入浴介助
  4. 排泄介助
  5. 送迎サービス
  6. レクリエーション
  7. 機能訓練

では、1つひとつ見ていきましょう。

(1)健康チェック

デイサービスでは毎回、看護師による健康チェック(血圧・脈拍・体温等の測定)が行われます。

健康チェックの後で入浴やレクリエーションなどのサービスを受けることが可能になるのです。

(2)食事介助

デイサービスの利用時間帯はおもに昼間なので、昼食が提供されます。

食事を自身で食べることが難しい場合は食事介助が行われ、必要に応じて食べやすい形態のものが提供されたり、介護用食器が用いられる場合があるでしょう。

また、利用時間が長時間の場合はおやつも提供されます。

食事時間は他の利用者と会話を楽しみながら食べるので、他者との交流も兼ねた大切なひと時です。

(3)入浴介助

要介護者にとって自身での入浴は困難な場合が多いため、デイサービスで介助を受けて入浴できるのは、とても貴重なサービスです。

多くのデイサービスでは、車いすのまま入浴できたり、寝た状態での入浴が可能な装置を備えていたりします。

入浴によって体を清潔に保つことで、気分も明るくなるでしょう。

(4)排泄介助

ひとりで排泄することが難しい方や排せつ機能に障害を持つ方には、以下のような排泄介助を行います。

  • トイレへ誘導する
  • 排泄の手伝いをする
  • おむつ交換を行う

適切な排泄介助を行うことで、利用者も安心してデイサービスでの時間を楽しむことができるのです。

(5)送迎サービス

デイサービスを利用する場合、家族がデイサービスまで送り迎えする必要はありません。

デイサービスには、送迎サービスが用意されているからです。

送迎用の車は普通車を使用する場合もありますが、車いすに乗ったまま乗ることができたり、バリアフリーになったりする車もあります。

送迎の範囲は通常片道30~40分程度が多くなっており、その範囲を超えると家族による送迎が必要な場合もあるでしょう。

(6)レクリエーション

レクリエーションは、デイサービスにおいて欠かせないコミュニケーションの機会だといえます。

レクリエーションを行うことで、楽しみながら周囲と積極的に関わることができるからです。

利用者の社会的孤立を防ぐことはデイサービスの大切な目的の一つ。

カラオケや輪投げ、脳トレなど様々なレクリエーションに参加して他者との交流を図れるのは、デイサービスの大きなメリットです。

(7)機能訓練

機能訓練とは「歩く」「階段を上る」などの日常的に必要な動作をスムーズに行えるようにするための訓練です。

機能訓練には身体機能の維持を目的とした歩行訓練や、レクリエーションを楽しみながら行う訓練など、様々な種類があります。

「孫と遊ぶために歩けるようになりたい」「食事がひとりで取れるようになりたい」など、利用者の要望にあわせて柔軟に取り組んでいく必要があるといえるでしょう。

デイサービス利用者の1日の流れ

デイサービス利用者は、どのような流れで一日を過ごすのでしょうか。

ここでは、デイサービス利用者の一日の流れの一例をご紹介します。

時間 行われるサービス
8:30~9:00 送迎者で自宅までお迎え
9:00 健康チェック(血圧・脈拍・体温等)
10:30 スタッフの介助で順次入浴
11:30 食事前の嚥下体操
12:00 昼食
1:30 レクリエーション
3:00 おやつタイム
3:30 レクリエーション
4:00~4:30 荷物準備、順次施設出発
4:30~5:00 送迎車で自宅に到着

朝のお迎えや帰宅時刻は、順番に車に乗り込んで行くため、利用者によって時間差があります。

デイサービスの利用条件

デイサービスはどんな人でも利用できるというわけではありません。

以下はデイサービスの利用条件になります。

  1. 要介護認定を受けている
  2. 送迎可能な範囲に自宅がある
  3. 医療行為は不要である

では、順に確認していきましょう。

(1)要介護認定を受けている

デイサービスを利用するには、要介護認定を受けている必要があります。

要介護認定とは、対象者に介護が必要かどうかを判断し、介護が必要な場合は、必要な介護の度合いを「要支援1~2」または「要介護1~5」の7段階で数値化したものです。

デイサービスを利用するには、要介護1以上の認定が必要ですが、要支援1~2の場合でも市町村の介護予防サービスとして、同等の利用が可能になります。

(2)送迎可能な範囲に自宅がある

デイサービスでは車による送迎サービスが行われていますが、一般的に車で30~40分程度の範囲内であることが多いようです。

送迎サービスを受けるためには、送迎が可能な範囲に自宅がある必要があります。

(3)医療行為は不要である

医療行為が必要な方は、デイサービスを利用することができません。

なぜならデイサービスでは積極的な医療行為を行うことができないからです。

しかし、デイサービスであっても看護師なら医療行為を行うことが可能になるため、可能な医療行為はデイサービスによって異なるといえます。

デイサービスの種類

デイサービスにはどのような種類があるのでしょうか?

デイサービスには大きく分けて、以下の5つの種類があります。

  1. 一般型デイサービス
  2. お泊まりデイサービス
  3. 認知症対応型デイサービス
  4. 療養型デイサービス
  5. リハビリ特化型デイサービス

では、順に見ていきましょう。

(1)一般型デイサービス

一般型のデイサービスでは、健康状態のチェックや食事・入浴・排泄の介助、レクリエーションなどを行います。

(2)お泊まりデイサービス

お泊りデイサービスとは、日中のサービスを受けた後、そのまま宿泊することが可能なデイサービスです。

親しみのある施設とスタッフのもとで安心して利用することができ、家族の負担を軽減できるメリットがあります。

(3)認知症対応型デイサービス

認知症対応型デイサービスとは、認知症の方を専門にしたデイサービスです。

認知症の方に対応した内容のサービスが行われ、自宅での自立した生活が送れるようにサービスが提供されます。

(4)療養型デイサービス

療養型デイサービスとは、医療が必要な方を対象としたデイサービスです。

末期がんの患者や重度の要介護者なども利用可能で、外出の機会を提供するというメリットがあります。

(5)リハビリ特化型デイサービス

リハビリ特化型デイサービスは、歩行などの機能訓練を重視したデイサービス。

食事や入浴の提供は行わない場合が多く、利用時間も短いことがほとんどです。

機能訓練を受けたいけれど一般型のデイサービスには通いづらい場合などに、介護保険を利用して機能訓練を受けることが可能になります。

デイサービスとデイケアの違い

デイサービスと混同されやすいものに、デイケアがあります。

デイサービスとデイケアの相違点は以下の3つです。

  1. 利用目的が違う
  2. 人員体制が違う
  3. サービス内容が違う

それでは、1つひとつ確認しましょう。

(1)利用目的が違う

デイサービスとデイケアでは、サービスを提供・利用する目的が違います。

デイサービスの目的は「利用者が居宅で自立して日常生活が営めるよう支援すること」です。

一方のデイケアの目的は「リハビリを受けて身体機能や認知機能を回復すること」となっています。

(2)人員体制が違う

デイサービスとデイケアでは、人員体制も異なります。

デイサービスには「介護士、看護師、生活相談員、機能訓練指導員」が配置されていますが、デイケアに配置されているのは「介護士、看護師、リハビリ専門職、医師」です。

前述したように、デイケアではリハビリによって機能を回復することが主な目的なので、リハビリ専門職員と医師が常駐しています。

(3)サービス内容が違う

デイサービスとデイケアのサービス内容を比較してみましょう。

デイサービスでの主なサービス内容 デイケアでの主なサービス内容
食事、入浴介助、排泄介助、機能訓練、レクリエーション 食事、栄養改善、専門器具を用いたリハビリ、専門家による運動機能向上、口腔機能などのリハビリ

デイサービスは介護が中心のケアを行い、デイケアは医療が中心のケアを行っているといえるでしょう。

デイサービスとは短時間での介護サービスが提供される通所サービス

今回の記事では、デイサービスとはどういうものなのか、その定義や目的、サービス内容などを詳しくお伝えしました。

デイサービスを一言でいうと「短時間での介護サービスが提供される通所サービス」です。

そしてその目的は「要介護状態となった利用者が日常生活を営めるように生活機能の向上や維持を目指し、レクリエーションなどで社会的孤立を解消すること」。

さらに「家族の介護負担を軽減する」という役割も大きいといえるでしょう。

この記事が、現代社会で重要な役割を担っているデイサービスについて、少しでも理解を深めるお役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人

「兵庫県神戸市在住の主婦で自宅で両親の介護を約10年間経験。母が二年前からサービス付き高齢者住宅へ入居しており、母の介護の役に立つかと考え「介護職員初任者研修」を取得。これからますます高齢化社会が進むことが予測される日本において、介護のお仕事は無くてはならない非常に重要な役割を担うものです。私自身今後まだまだ学んでいくべきことが多くあるでしょう。記事を書くことで少しでも皆さんのお役に立てることを願っています。」

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