特別養護老人ホームで働く職種を知りたくはありませんか?
特別養護老人ホームが介護施設であることは知っていても、具体的にどのような職種のスタッフが働いているのか知らない方も多いでしょう。
この記事では特別養護老人ホームで働く職種をご紹介します。
それぞれの業務内容も解説するので、特別養護老人ホームの仕事に興味のある方は是非参考にして下さい。
特別養護老人ホームで働く職種とは?
特別養護老人ホームで働く職種は大きく3つに分類できます。
- 医療系の職種
- 福祉系の職種
- その他の職種
医療系の職種は看護師や機能訓練指導員、管理栄養士などが挙げられます。
それぞれの専門性を発揮して入居者の心身の健康管理を行うのが主な仕事です。
入居者のケアには専門的分野でのみ関わります。日常的なケアへは基本的に介護職へのアドバイスや指示を通して関わるのが特徴です。
福祉系の職種には介護職員や介護支援専門員、生活相談員などが挙げられます。
それぞれの業務を通して入居者の生活を豊かにするのが仕事です。直接的な介護業務は主に介護職員が行います。
介護支援専門員や生活相談員は介護保険の知識を駆使して、入居者の家族や行政、地域の病院などの関係各所との調整を行うのが特徴です。
その他の職種には施設長や事務員、営繕などが挙げられます。施設の管理、運営や事務処理、他の職種では手が回らない業務を行うのが主な仕事です。
入居者との関わりが薄くなりがちな職種ではありますが、施設の運営には欠かせません。
特別養護老人ホームの人員配置基準
特別養護老人ホームは人員配置基準が定められています。
人員配置基準とは行政が定めた介護施設の人員体制に対する制度のことです。
違反すると行政から指導を受けるので、特別養護老人ホームの職種や人数は人員配置基準に則った配置となります。
特別養護老人ホームの具体的な人員配置基準は以下の通りです。
- 医師:入居者の健康管理および療養上の指導に必要な人数(非常勤でも可)
- 介護職員及び看護師:入居者3人に対して最低1人以上
- 介護支援専門員:常勤1人以上
- 生活相談員:常勤1人以上
- 機能訓練指導員:1人以上
- 栄養士:1人以上
大規模な施設では上記よりも手厚い配置が求められます。
特別養護老人ホームの人員配置基準を見ると介護職員以外の職種は人数が少なくなっており、専門職として働くのは狭き門となっているのが特徴です。
また特別養護老人ホームは医療体制が手薄となっています。
医師は非常勤で、看護職員も数名の在籍が一般的です。
特別養護老人ホームで働く職種ごとの業務内容とは?
特別養護老人ホームでは職種ごとに違った業務を行っています。
施設を運営するためにはそれぞれの専門性を発揮する必要があるからです。
管理栄養士や事務員が日常的な介助を行うことはありませんし、介護職員が行政や病院との調整を行うこともありません。
特別養護老人ホームでは、それぞれの職種が独自の専門性を発揮するために、ある程度固定化された業務を行うのが一般的です。
ここでは特別養護老人ホームで働く職種ごとの業務内容をそれぞれ解説します。
医師
医師は特別養護老人ホームの医療体制を決定する重要な職種です。
医師の方針により医療分野での対応が定められます。たとえば入居者の健康状態を第一に考える医師であれば健康リスクのある対応は原則禁止となる可能性がありますし、入居者の生活の質を第一に考える医師であれば多少健康リスクのある対応でも本人や家族の希望次第で許可される可能性もあります。
医師は基本的に非常勤で他の医療機関と掛け持ちしている場合がほとんどです。
特別養護老人ホームの医療を担う重要な職種ではありますが、日常的に滞在しているわけではありません。
看護職員
看護職員は医師に代わって、特別養護老人ホームの医療的な実務を担う職種です。
日常的な入居者の健康管理を行います。たとえば入居者のバイタルサインの測定や突発的な体調不良への対応、怪我の手当や傷口の処置などは看護職員主導で行う業務です。
夜間は在宅で電話連絡に対応する待機看護師を配置して、夜間帯に入居者が急な体調不良を起こした場合に指示出しを行う場合もあります。
特別養護老人ホームの看護職員は介護職員と比べて人数が少ないので、資格がなくても実施可能な医療的ケアは介護職員に指示を出して行うのが一般的です。
機能訓練指導員
機能訓練指導員はリハビリテーションを通して利用者の身体機能の維持向上を図る職種です。
理学療法士や作業療法士が務めるのが一般的ですが、看護師が兼任することもあります。
具体的な業務は機能訓練計画書を作成してそれぞれの入居者に適したリハビリテーションを行うことと、介護職員に適切な介助方法を指導することです。
特別養護老人ホームは機能訓練指導員の配置が手薄な傾向にあります。
管理栄養士
管理栄養士は食事を通して入居者の健康を維持する職種です。
それぞれの入居者の状態に合わせた食事提供を行います。具体的な業務は入居者の栄養管理や、高血圧や糖尿病といった疾患に合わせた献立の作成、一人ひとりの飲み込む力や嚙む力に合わせた食事の提供などです。
また入居者が問題なく食事を食べられているか見回って観察するミールラウンドも行います。
ラウンドの際に食事の好き嫌いや困りごとなどの意見が出てくれば、それぞれの嗜好に合った食事内容を検討し、個別に代替食を用意する場合もあります。
介護職員
介護職員は入居者の日常的な介護を行う職種です。
介護支援専門員の作成するケアプランや、各専門職の指導の下に介護業務を行います。
具体的な業務は三大介護である食事、入浴、排せつの介助、起床や就寝のケア、レクレーション活動や季節の行事などです。
介護職員の中でも介護主任やユニットリーダーなどの役職者は入居者のケアだけでなく介護職員のマネジメントも行います。入居者の日常生活は介護職員なしでは成り立ちません。
介護職員は特別養護老人ホームの根幹を支える重要な職種だと言えるでしょう。
介護支援専門員
介護支援専門員(ケアマネジャー)は入居者の介護の方向性や内容を定める職種です。
介護の設計図であるケアプランを作成し、一人ひとりの入居者に合った適切な支援を計画します。
具体的な業務はケアプランの作成や運用及び評価です。
介護サービスを提供するには必ずケアプランが必要なので、ケアプランの運用を行う介護支援専門員は特別養護老人ホームに必須の職種と言えるでしょう。
生活相談員
生活相談員は入居者やその家族への相談援助を主に行う職種です。
主に社会福祉士や精神保健福祉士が務めます。業務内容は契約関連の手続きや説明、施設見学の対応から関係各所との連絡や調整など幅広いのが特徴です。
主な業務である相談援助以外にもやることがたくさんあり、特別養護老人ホームの何でも屋のような立ち位置にいます。
施設長
施設長は施設の運営に全責任を持つ職種です。
特別養護老人ホームの施設長になるには、厚生労働省が規定している「社会福祉主事の要件を満たす者」や「社会福祉事業に2年以上従事した者」、「社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者」のいずれかの条件を満たしている必要があります。
業務内容は施設の運営や収支の管理、行政への対応、人事マネジメント、介護サービスの質の管理など多岐にわたります。
事務員
事務員は特別養護老人ホームを裏から支える職種です。
施設運営に関わる様々な事務処理を行います。
具体的な業務は介護報酬の請求や職員の給与計算、来訪者や利用者の家族の受付、電話対応などです。
無資格でも働ける職種ではありますが、請求業務には介護保険の知識やパソコンを扱うスキルが必要となります。
営繕
営繕は特別養護老人ホームの施設そのものを守る職種です。
施設設備の管理や修繕を行い、設備が正常に稼働しているかの確認や点検、メンテナンスを行います。
設備の管理以外にも施設車両の運転や宿直業務や施設周りの環境整備などの幅広い範囲の業務を行うのが特徴です。
施設によっては設備の管理は業者対応としており、営繕が居ない場合もあります。
まとめ
特別養護老人ホームで働く職種についてご理解いただけたでしょうか。
特別養護老人ホームはさまざまな職種によって成り立っています。
それぞれの職種には専門分野があり、業務内容も職種ごとの特性を活かしたものとなっているのが特徴です。是非ともあなたにピッタリの職種を見つけてみてください。