特別養護老人ホームとはどんな職場?施設の役割や特徴をご紹介!

特別養護老人ホームとはどんな職場か知りたくありませんか?介護施設は事業形態ごとに、施設の特徴や仕事の内容に違いがあります。自分に合った仕事を見つけたいのであれば、職場ごとの特徴をおさえるのが肝心です。そこでこの記事では特別養護老人ホームがどのような職場か解説します。施設の役割や特徴もご紹介するので、特別養護老人ホームに興味のある方は是非参考にしてみてください。

目次

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームとは入所型の介護施設であり、正式名称を老人福祉施設、略称を特養といいます。有料老人ホームや老人保健施設(老健)と並んで、介護業界を代表する施設です。特養の種類は広域型特養、地域密着型特養の2種類があります。それぞれの具体的な特徴は以下の通りです。

種類特徴
広域型特養一般的な特養の形態

定員30名以上

居住地域にかかわらず申し込み可能
地域密着型特養定員29名以下
地域密着型の小規模な特養
サテライト型、単独型の2タイプの施設形態

広域型特養は特養の中でも一般的な施設形態で、大規模な施設が多い傾向にあります。対して地域密着型の特養は小規模な施設が多いです。

公的な介護施設

特養とは社会福祉法人が運営する公的な介護施設です。社会福祉法人は行政から認可を受けた法人で、一般的な法人よりも母体の規模が大きく、運営基盤がしっかりしている傾向があります。他の介護施設と比較して利用者の金銭的な負担が低いのが特徴です。特養は利益を上げることよりも、地域の福祉に貢献することを目的とした介護施設だといえます。

重度の利用者を受け入れる

特養とは介護度の高い重度の利用者を中心に受け入れる介護施設です。利用者の入所基準は原則要介護3以上の高齢者となっており、認知症の利用者も多数在籍しています。ひとりでは身体を満足に動かせない重度の利用者も多く、ケアを行う介護職員の身体的負担が大きいのが特徴です。

従来型多床室とユニット型個室

特養には主に2つの居室タイプがあります。大人数の利用者を多数の職員でケアする従来型多床室タイプと、少人数の利用者を少数の職員でケアするユニット型個室タイプです。それぞれに違った特徴があり、居室タイプによって現場の雰囲気も大きく変わってきます。

大所帯の従来型多床室

従来型多床室とは病院の病室を参考にした居室タイプです。1フロア数十人の利用者が、ひとつの部屋に4人程度ずつ生活しています。多数の利用者を多数の介護職員でケアする集団ケアを採用することで、介護業務を効率的に行えるのが特徴です。常に複数の職員で業務を行うので、新人職員の指導や職員同士の連携がやりやすい傾向にあります。ケアする利用者が多いので、利用者一人ひとりの情報や個別の対応を覚えるのが大変という側面もあります。

少人数単位のユニット型個室

ユニット型個室とはユニットケアの考え方を取り入れた居室タイプです。10人程度の利用者が、ひとつの個室にひとりずつ生活しています。ユニットケアは利用者が介護施設に入所したあとも、それぞれの個性を活かした生活が送れるように支援するケアです。少人数単位のグループで顔なじみの関係を作り、家庭的な雰囲気のフロアや居室環境を整備します。少人数の利用者にケアを提供するので、多床室よりも利用者の個性に合った丁寧なケアを行えるのが特徴です。職員も少数なので新人職員や職員同士の連携がやりにくい側面もあります。

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特別養護老人ホームの役割とは?

特養の役割は主に3つあります。

  • 低価格で介護を提供する
  • 家族の負担を軽減する
  • 終の棲家として看取りを行う

それぞれ順番に解説します。

低価格で介護を提供する

特養とは他の施設と比べても利用料金が低い介護施設です。入居時の一時金は不要で、月に10万円前後で利用できます。民間の有料老人ホームであれば、入居一時金が必要な場合は数十万円から数百万円、月の利用料は15万円から40万円程度が一般的です。介護は長期期間にわたり続くものですし、かかる費用も安くありません。多くの人が安心して介護を受けるためには特養のような低価格の公的な介護施設が必須だと言えるでしょう。

家族の負担を軽減する

特養は介護する家族の負担を軽減する役割があります。在宅の介護では家族が日中から夜間まで続く要介護者の対応により追い詰められ、生活や人生が破綻してしまう可能性があるからです。要介護者が特養に入所すると家族が介護の負担から解放されるため、介護離職による経済的な破綻や、精神的に追い詰められることによる一家心中などを防ぐことができます。特養の仕事は目の前の利用者の生活を支えるだけでなく、利用者の家族の人生も守る事に繋がっていると言えるでしょう。

終の棲家として看取りを行う

特養では看取り介護を行っている場合も多いです。看取り介護は病院で生命維持の装置に繋がれたまま孤独に亡くなるのではなく、住み慣れた施設で顔なじみの職員にケアを受けながら、自然な形で天寿を迎えてもらうことを目指します。過度な延命措置をせず、利用者本人や家族の意向に沿った緩和ケアを行うのが特徴です。利用者の最後の住居として、穏やかな死の訪れを待つのも特養の役割と言えます。

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特別養護老人ホームの特徴とは?

特養の職場としての特徴は3つあります。

  • 介護事業所の中では給料がトップクラス
  • 身体的負担の大きい業務が多い
  • 24時間体制で介護を行うシフト制の勤務

それぞれ順番に解説します。

介護事業所の中では給料がトップクラス

特養は介護事業所の中でも特に給料が高い傾向にあります。運営母体がしっかりしており、行政からの支援金を職員の給与に充てられるからです。業務内容がハードなので、給料を高めにしないと職員が集まらないという理由もあります。厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、介護職の平均給与額は316,610円ですが、特養に勤める常勤介護職員の平均給与額は345,590円です。介護職として高い給料を稼ぎたいのであれば、特養が有力な選択肢となるでしょう。

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身体的負担の大きい業務が多い

特養は重度の利用者が多いため、身体的負担の大きい業務も多い傾向にあります。重度の利用者は自分で満足に身体を動かせないため、介護職員がより多くの労力を注いでケアする必要があるからです。たとえば足腰の弱ってきた利用者であれば立ち上がりや歩行の際に職員が支えなければいけませんし、寝たきりの利用者であれば支えても立ち上がることができません。手が利かなければ食事や着替えも職員が行います。そのためトイレのケア、おむつ交換、入浴のケア、食事のケアなどが、軽度の利用者よりも大変です。重度の利用者のケアを行う職員の身体的な負担はとても大きいと言えるでしょう。

24時間体制で介護を行うシフト制の勤務

特養は24時間体制のシフト勤務を組んで介護を行います。入所している利用者の生活を朝から晩まで守る必要があるからです。そのため介護職員は早番、日勤、遅番、夜勤といったシフトを交代で受け持つことになります。特に夜勤は普段眠っている時間に働くことになり、身体的に負担が大きいシフトです。そのぶん夜勤手当がつくので、給料を稼ぎやすい傾向にあります。シフトによって出退勤の時間や現場での動き方、業務内容などが変わってくるので、特養で働く際は職場のシフトについて理解しておくと良いでしょう。

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特別養護老人ホームとは給料が多く社会意義の高い職場

いかがだったでしょうか。特養とはどのような職場なのかがご理解頂けたでしょうか?特養は重労働の現場ではありますが、他の介護事業所よりも給料が多く、社会的な意義の高い職場です。体力に自信のある方であればきっと活躍できることでしょう。この記事を参考にしてあなたにぴったりの仕事を見つけてみてください。

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この記事を書いた人

経歴:介護職として2014年から特別養護老人ホームに勤務。現場で介護スキルをたたき上げ、独学で介護の国家資格『介護福祉士』を取得。入職から4年目で介護現場のユニットリーダーとなる。個別のケアを重視するユニットケアや、利用者一人ひとりの個性に応じたケアを展開する24時間シートなど、要介護の高齢者が尊厳を保ち、自分らしく生活できる施策を推進。インターネットでは主に介護に関する記事を執筆し、介護に携わる家族や介護施設のスタッフに役立つ情報を発信している。

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