

「内定をもらえたら、それがゴールだと思っていました」
周囲の友人たちが次々と就職先を決めていく中で、「内定」という言葉はどこか安心の象徴のように感じられます。
しかし成松佑亮さんにとって、それは終わりではありませんでした。銀行、アパレル、派遣系企業など、合わせて4社から内定を得ながらも、彼はすぐに最終決断を下しませんでした。
これから就職活動を迎える学生にとって、納得して決めるとは何かを考えさせてくれるストーリーです。
専門学校で追いかけた夢と、芽生えた違和感

成松さんは熊本県出身。商業高校で簿記を学び、銀行という道も視野に入れていました。しかし高校時代、アパレルに興味を持ったことが進路を大きく変えます。
「デザインに関わる仕事がしたかったんです。でも、イラストが描けなかったんですよね」
その悔しさが、福岡のアニメーション専門学校への進学につながりました。地元を離れ、一人暮らしを始めるという決断は簡単なものではありませんでした。
専門学校での2年間は順風満帆ではなく、課題提出が思うようにいかず苦労した時期もあったといいます。それでも「力をつけたい」という思いで続けてきました。
ところが、就職活動が始まると少しずつ違和感が生まれます。学校から紹介された企業を見学する中で、仕事内容以上に「場の雰囲気」や「人の空気感」が気になったのです。
「なんとなく、自分に合っていない気がしました」
専門分野だから安心というわけではないと、そこで初めて実感しました。
「内定=ゴール」ではなく、納得して決めること
4社から内定を得ても、すぐに就職先を決めませんでした。
安心できる材料にはなりますが、「本当に自分に合うか」は別の話だったからです。周りのペースに流されるのではなく、自分が納得できるかどうかを基準に考え続けたことが、成松さんの就活の特徴でした。
4社内定。それでも決めきれなかった…
2025年の夏頃から本格的に就職活動を始め、大手求人サイトを使って自分で求人を探しました。面接を重ねる中で、銀行やアパレルを含む4社から内定を得ることができました。
周囲から見れば十分すぎる結果だったかもしれません。しかし成松さんの中では、どこか「これだ」という確信が持てなかったといいます。
「まだ他にも、自分に合う場所があるんじゃないかと思っていました」
周りより就活の進みは遅い状況でしたが、それでも妥協して決めることはしたくありませんでした。内定は安心材料にはなりますが「納得」とは少し違っていたのです。
専門分野でも「合う・合わない」はある
専門学校で学んだ分野の企業を見学する中で、仕事内容そのもの以上に「会社の雰囲気」や「働く人の空気感」が気になりました。
専攻に合っているかどうかだけで判断せず、「自分がその環境で働けるか」を考えることも大切だと気づいた瞬間でした。
SNSから始まった転機
きっかけはInstagramでした。流れてきたリール動画からツナグバを知り、Googleで検索して応募したといいます。
紹介されたのは2社。そのうち1社に絞り、面接対策を受けました。
「一番よかったのは面接対策でした」
対面の面接にはある程度慣れていたものの、リモート面接は初めてでした。カメラ目線や画面の位置など、細かなポイントが印象を大きく左右することを知ります。
「自分では気づけなかったことを教えてもらえました」
そして何より印象に残っているのは、内定が決まったときに担当者が一緒に喜んでくれたことでした。
「一人でやっている感覚じゃなかったです」
寄り添ってくれる存在がいることで、心の負担が軽くなったと振り返ります。
専門外の選択。それでも、確実に上を見ていました
最終的に成松さんが選んだのは、全国に店舗を展開する大手外食チェーン企業でした。アニメーションやデザインを学んできた彼にとって、まったくの専門外です。
それでも迷いはなかったといいます。
決め手になったのは、「将来が具体的に見えたこと」でした。
内定をもらっていた他社と比較したとき、給与水準に明確な差がありました。単純な金額の問題というよりも、「努力すれば、どのくらい上にいけるのか」という道筋がはっきりしていたことが大きかったのです。
その企業では、入社後に本社での研修期間を経て現場に立ち、昇格試験に挑戦できる仕組みが整っています。早ければ数年以内に店長ポジションを目指すことができ、役職に応じて収入も段階的に上がっていく制度が明確に示されていました。
「頑張れば、ここまでいけるっていうラインが見えたんです」
将来像がぼんやりしている企業もある中で、成松さんにとっては“努力と結果が結びつく構造”がはっきりしていることが安心材料でした。
「将来的に、しっかり収入を上げていけるイメージが持てました」
専門分野に進むことも、もちろん一つの正解です。しかし彼は、自分の好きな分野よりも、「自分がどこで成長できるか」「どこで人生設計を描けるか」を基準に選びました。
4社の内定を手にしながらも、最後まで考え続けたのは「なんとなく良さそう」ではなく、「自分の将来にとってどうか」という視点でした。
「自分で納得して選べました」
専門から外れた選択は、決して後退ではありませんでした。むしろ、自分の人生を長期視点で見直し、より上を目指すための意思決定だったのです。
最後は「将来の道筋が見えるか」で決めた
最終的に選んだのは、専門外の外食チェーン企業でした。
決め手になったのは、研修や昇格の流れが示されていて、「努力すればどこまで目指せるか」を具体的にイメージできたことです。給与の金額だけでなく、将来像が見えたことが納得につながりました。
これからの目標と、後輩へのメッセージ
今の目標は、早期に店長になることです。昇格試験に挑戦しながら、キャリアを積み上げていきたいと考えています。その先には、福岡で安定した生活を築き、将来的には家を建てたいという夢もあります。
「旅行が好きなので、福岡を拠点にいろいろな場所に行けたらいいなと思っています」
最後に、これから就活を迎える人へのメッセージを聞きました。
「専門分野以外を積極的に見てみるといいと思います。学校と会社は全然違いました。」
高校生のときに決めた進路が、そのまま正解とは限りません。だからこそ、一度決めた道に縛られず、納得するまで見続けることが大切だといいます。
4社内定。それでも立ち止まり、考え、選び直した。
成松佑亮さんの就活は、「妥協しなかった就活」でした。内定の数ではなく、自分が納得できるかどうかで決める。その姿勢は、これから就活を迎える人にとって大きなヒントになるはずです。
もし今、内定をもらって迷っているなら。
焦らなくて大丈夫です。
あなたが本当に目指したい場所は、もう少し先にあるかもしれません。



